H-1Bビザ却下の話

生活

今年もまもなく就労ビザ「H-1B(特殊技能職)」申請登録が始まりますね。応募の第一ステップである申請登録は、3月1日〜17日までと移民局から発表されています

毎年ビザ発給枠を大幅に超える応募者が集まるので抽選となります。アメリカで働くことは多くの人にとって夢なんですよね。ですが、就労ビザの取得は人によっては本当に本当に大変なプロセスなんです….今回は、2019年度(2018年申請)に夫がH-1Bの審査に落ちた時の話を書こうと思います。

H-1B抽選通過

上述した通り、H-1Bビザは抽選によって選ばれた応募者のみが審査に進めます。当選確率は、年によって異なりますが、近年は大体20〜40%ほどのようです。

夫は、2017年も申請していましたが落選、今年こそは!と臨んだ2018年、5月上旬に同時に申請していた同僚の分だけ当選通知が届きます。4月に抽選があり、5月中旬を過ぎても夫には当選通知が来ておらず、あ〜今年も落ちたかぁと諦めかけていた頃、当選通知が届きました!!この時点で「受かったも同然!」と思い込んでいました。が….

審査の遅延、Premium Processing(特急審査)の休止

2018年はトランプ政権の移民対策真っ只中。H-1Bの却下件数も大幅に増え、配偶者ビザH-4の就労も認められなくなってしまうなど、政権の影響をもろに受けた年でした。通常、Premium Processing(特急審査)という特別料金(当時は$1,500ほど)を支払うと15日以内に審査結果を得られるというサービスがありますが、2018年当時は休止されていました。おそらく、審査基準が厳しくなり、審査に時間がかかるようになったからだと思われます。

というわけで、通常は10月には審査を終え就労ビザを獲得できるはずが、全くプロセスが進んでいきませんでした。一方で、夫が当時持っていた就労ビザの期限が11月末に迫っていました…

Request For Evidence(追加書類提出要請)

ようやく移民局から返事が来たと思ったら「Request For Evidence」という追加書類の提出要請でした。この要請が届いたのは確か10月を過ぎていた頃だったと思います。書類作成に向けて担当弁護士とミーティングを持ったのですが、夫がビザが通る確率は何%くらいかと質問すると、まさかの「15%くらい」と。。。ベイエリアで凄腕と言われる移民弁護士で、かつ、H-1Bビザを勧めてきたのも彼女。絶対的な信頼をおいていたのですが、ここにきて弱気…

彼女がいうには、数年前までとは状況がうって変わり、審査が厳しすぎるから、と。特に、夫はソフトウェアエンジニアですが、大学・大学院の専攻はシビルエンジニアリング(都市工学)でした。以前は、工学系を卒業していれば審査が通ったのですが、今は専攻と職種が完全に一致していないと難しい、というのです。

これを聞いた時は完全に青ざめました。と同時に、ビザの期限が近づき、仕方なく11月末に一時帰国することとなります。(これが後に”一時”でない帰国になります(泣))

追加書類の提出

大学の専攻が審査を妨げている、という弁護士の判断だったので、夫は大学院の研究室の准教授などに手伝ってもらいながら、ソフトウェアエンジニアリングを学んだというエビデンスの作成。他にも、会社での業務に関する書類など、膨大な資料を作成し12月中旬ごろに移民局に提出。

逆に怪しいんじゃない?と思うほど膨大な量の追加資料。ここからまた審査結果を待ちます。ちなみに、ビザが通るまでの一時帰国のつもりだったので、サンフランシスコの家はそのまま。焦る気持ちとは裏腹に、追加書類を提出しても移民局からの音沙汰は全くなし。

Premium Processing(特急審査)の再開

新しい年が明け2019年の2月に入ると休止していたPremium Processing(特急審査)が再開となります。帰国してすでに2ヶ月以上経過しており、痺れを切らしていた頃だったので、追加料金(確か$1,500ほど)を会社から払ってもらいサービスに申し込みました。ここから2週間以内に結果が来るはずなのですが、期限日を過ぎても何も通知が届かず…

やっと来たと思ったら、管轄の移民局が混み合っているからと、隣の州の移民局に転送します、というお知らせ。$1,500返せー!と言いたくなります。

H-1Bビザの却下

程なくして残念なお知らせが届きました。H-1B却下。同時に申請していた同僚も却下。弁護士が予想していた「専攻が異なるから」という理由ではなく、「職務内容がH-1B発行に値しないから」という内容でした。会社がまだ創業間もない小さなスタートアップで、移民局からの信用が薄かったのもあったからでしょうか。思い返すと、抜き打ちで移民局がオフィスに訪問してきたこともありました。

弁護士いわく、こんなケースは稀、否認理由から異議申し立てが有効では、とのことで抗議をすることを提案されます。場合によっては審査結果がひっくり返ることもあるそう。ですが、この抗議に対する審査にも相当な時間を要することになります。早くて半年とか…望みは薄いですが打つ手がないので言われるがままに異議申し立て文書を提出しました。

サンフランシスコの家

一度ビザを否認されると、アメリカで働けなくなるだけでなく、渡航さえも難しくなってしまいます。不法入国が疑われるのでESTAや新たなビザの申請が通りにくくなるのです。夫も、抗議中なので「審査中」のステイタスではありますが、一度否認を受けたのでESTAが取れなくなってしまいました。私は学生ビザF-1を持っていましたが、第一子の妊娠中だったため1人での渡航は不安が多くできず。つまり、サンフランシスコの家に戻れなくなってしまったのです!家具も家電も衣類も全て置いたままだったのに…

当時住んでいたサンフランシスコの部屋

よって、サンフランシスコの友人たちの手を借りました。まずは家具を売ってもらい、一部の家電や食器を日本へ送ってもらい、契約満了の5月までに売れなかったもの・日本へ送れなかったものを全て捨てて部屋を片付けてもらいました。こんな大変な作業を買って出てくれた友人たちには本当に頭が上がらなかったです。

最終的なビザの結果

夫も会社を辞めることを考え、H-1Bビザのことなど忘れかけていた頃に、移民局から再度「却下」の通知が届きました。正確には覚えていないですが、抗議を申し出た2019年2月から1年以上経過していたと思います。

納得いかないことに、2019年(2020年度分)にH-1Bに応募した新入社員2名は、すんなりとビザが通ったのです。業務内容は一緒なのに、、、全ては審査員の裁量に委ねられているんでしょう。

長くなりましたが、以上がH-1Bの審査に落ちた時の話です。これからビザを申請する方々へ何の参考にもらならないどころか、脅すような内容になってしまいましたが(汗)。次は、昨年夫が新たに取得した抽選なしで取得できるH-1Bビザについて書こうと思います。

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